一輪の廃墟好き 第2話 住まいは廃墟
などと慎ましく感傷に浸ってみる。
いやいや、「感傷に浸る」という言葉を何気に調べてみれば、なんと「物に感じて心を傷めること」とあるではないか。
自負していた頭脳明晰が聞いて呆れるは!!!
と一人ツッコミを軽く済ませたところで少しばかり落ち着いてみよう。
うむ、やはり落ち着いて考えても僕が「頭脳明晰」であることは揺るぎない事実であり、それを証明することは実に容易である。
なんせ僕は東京大学を首席で卒業したほどの「天才」と呼ばれた男なのだから!
世界的なランキングは落ち気味な東京大学だが、我が日本国において最高の大学であることは間違いない。
つまりそんな素晴らしい大学を首席で卒業した僕は「天才確定」なのである!と声高々に云っておこう。
次に「美青年」の部分についても敢えて説明しておかなければなるまい。
手っ取り早くかつ分かり易く云うなれば、小栗旬と菅田将暉と横浜流星を足して4、いや3で割ったようなイケメンをしているのだ!
フフ、一瞬控えめに伝えようとした自分に奥ゆかしさを感じてはいるけれど、並べた俳優を3で割っても随分とまぁ分かりづらくなったものである...
まっ、投げ出すような形にはなるが、とにかく頭脳明晰な上にイケメンなのだ。
ところで、僕は日常生活をおくるための住宅であり、仕事場としても利用している廃墟に住んでいる。
廃墟に人が住んでしまえばもはや廃墟と呼べるかどうか甚だ疑問が浮かぶかも知れないけれど、とある町の一角にある廃ビルの屋上に建てられた一軒家の廃墟が僕の「家」にあたるのだ。
役所を尋ねてみたところ、30年ほど昔に何処かの金持ちが建てたビルと家らしい。
10年ほど前に所有者が重い病気で亡くなり、このビルと家は一人の相続人が相続してから一切手付かずの放置状態だったようで、しかもその相続人が3年ほど前から行方知れずになってしまったとのことである。
ゆえに元の所有者が亡くなってからこのビルと家は10年近く放置されていた状態であり、僕が見つけた時には僕好みの廃墟と化していたわけだ。
そうだな、この家がどのような造りかを伝えるならば、名作「となりのトト○」に出てくるサツキとメイ達の家の広さの四分の一、木造ではなく古びたモダンなレンガ造りといった感じだろうか...
だから役所の人に掛け合って「管理するなら住んで良し!」と言われた時は震えたね。
飛び上がって喜びはしゃがずただ震えたね。
では次に僕の仕事についてなのだけれど、これはもう単刀直入に「探偵」である。
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