一輪の廃墟好き 第134話 病院
真っ当に考えれば今回の「勘違い」はプラスな方だと思うのだけれど、如何ともし難く釈然としない気持ちがやや残った。
だが、そんなくだらない想いに時間を費やすより、優先するべきことを優先すべきであり、さっさと頭を切り換えることこそが良策であろう。
取り敢えず気になっていたことを現職の刑事に訊いてみる。
「そう言えば淀鴛さん、事件現場には早めに居合わせてたみたいですけど、警察から連絡であったんですか?」
「ん?...いやいや違う違う。警察関係の連絡網なんかじゃない。単に朝飯を食って散歩してたら大勢の騒がしい声が聴こえてきてね。それで近寄って話しを訊けば事件が起こった言うもんだから、地元の警察に身分を証して一緒に調査してたってわけさ」
なるほど、これはある程度想定通りだったな...
僕にはもう一つ確かめたいのと同時に実行したいことがあった。
「あの、もし可能だったらでいいんですけど、被害者夫婦の御遺体を拝見したいんですが」
井伊影村には小さな診療所あるが、総合病院のような大きな病院は存在しない。
殺された夫婦の遺体は村から少しばかり離れた街の病院に運ばれたと聞いている。
「そう来ると思っていたよ。だが病院はここからだと車でも最低1時間はかかるがそれでも良いかい?」
「い、1時間、ですかぁ...」
今度の答えは僕の想定を僅かに超えて来た。
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