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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第36話 面目

「あいも変わらずダメダメじゃのう九兵衛。儂らの旅が始まって既に一ヶ月以上の経つというのに、お主はなかなか体力がつかんもんじゃなぁ」

「め、面目無いでやんす...しかしながらこればっかりはどうにもこうにもいかない次第でやんして...」

 仙花に言われた九兵衛が頭を掻きながら苦笑いする。

「儂の家はもうすぐじゃよ。もう少し頑張って辿り着いた暁には団子の礼に美味い飯をご馳走してやるぞい」

 後ろを振り返り皺だらけの笑顔をもって真如がそう告げると。

「ぬぉっ!美味い飯でござるか!?それは楽しみでござるなぁ!」

 辺りは夕暮れ時を迎え闇が迫って来てており、腹をすかせた蓮左衛門が飯の話しに飛びついた。

 さらにお銀が会話に割って入る。

「真如殿!酒は!?酒はございますか?手前どもは五日も酒を口にしておらず、恥ずかしながら酒に飢えておりますゆえ」
 
 お銀は見た目通り?の酒好きである。
 彼女の言う通り、仙花一味は酒を切らして五日ほど酒を口にしていなかった。

 別に酒好きでなければ五日くらい呑まずとも平気なのだが、此度の旅が始まるまで毎日欠かさず酒を呑む習慣のあったお銀からしてみれば、酒を口にできないこの五日間はなかなかしんどかったに違いないだろう。

「酒もあるぞい。今宵はたんと呑んでぐっすりと眠るが良かろうよ」

 お銀の願望にも笑顔で応える真如であった。

 

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