刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第42話 馳走
つまり、己が弱いことを素直に認めている九兵衛は別としてた他の四人は、簡単に云ってしまえば否応なく「挫折」を味わされていたのである。
「...にしてもじゃ、悪魔の奴めは強かったのう...」
暫く流れていた沈黙の時間を破ったのは、一味の首領であり、最年少の16歳である仙花であった。
そんな彼女にお銀が沈黙のあいだ考えていたことを訥々と語り出す。
「...仙花様。あれはきっと特別な悪魔でございましょう。雲峡様や柚須灘様がおっしゃっていたのを聴いておれば、奴めは魔界の三大魔王の一人が息子。そのような立場にある者が弱かろう筈もございませぬ。それに奴めは雲峡様の『しくじり』によって逃げ延び、今頃は魔界で回復を図っていることでしょう...それに、これは手前の勘が申しているのですが、いずれまた何処かで奴めと出会す機会があるやもございませぬ。またいつの日か、奴めとの再戦が訪れた暁には、軽くねじ伏せてやれるくらいまで強くなっていとうございますね...」
「...うむ、そうじゃな。お銀の言う通りじゃ。現状で己の強さがどれほどのものか知れただけでも善しとした方が懸命かも知れんなぁ...頭の中のもやもやがだいぶ晴れてしもうたら急に腹が減って来た。真如の馳走とやらは未だ来んのかのう...」
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