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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第49話 水筒

 平坦だった道のりにおいてはこれといった日陰が無く、暑さも未だそれほど厳しくない太陽の光を浴びつつ、春の名残りを若干感じなる丁度良い陽気であった。

 しかし山道へ入ると、否、森の道といった方がしっくりとくるようなこの細道は、周囲に生い茂る中々に背高い木々よって、光のさす地表の面積より影に覆われた面積の方が多く、汗を掻いていれば空気が僅かに冷んやりとも感じられるほどである。

 仙花にこの時点まで「世界」のことを語り続けていた真如が口を止め、腰にぶら下げていた竹水筒に手を当てて水を飲む。

「...ふぅ、調子に乗ってちと長々と語ってしまったのかのう...して仙花よ。世界 の話はおもしろかったか?」

 仙花は此処までのあいだ真如と歩を合わせて歩きながら、彼女の発する言葉を一言一句聞き漏らすまいと目を輝かせて語りを聞いていたものである。

「うむ、たいそう興味深い話であったぞ。儂の父である水戸光圀もかなりの物知りでおもしろい話を大いに聞かせてもらってっおったが...真如の話はそれに負けず劣らずおもしろくためになったぞ」

「ホッホッホッ、お主、儂がこの世に生を受けて何年生きていると思っておるじゃ?儂はお主の父上の数倍は長く生きておるゆえ物知りなのは当たり前じゃて」

 真如は愉快そうに笑い、竹水筒の水をもう一度口に含んだ。

 

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