刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第58話 剣速
天下無敵の最強剣士を志す居眠り侍」こと阿良雪舟丸と、過去に全盛期を迎えていた宮本武蔵と互角に渡りあったと云われる座頭市。
現時点での最強剣士を決する一対一の闘いは斯くして始まったのであった。
互いが刀の鞘に手を添え、居合い抜きの構えを取る。
「雪舟丸殿が居合の構えとは...」
雪舟丸の構えを見て違和感を覚えたお銀が呟いた。
居合い抜きの達人たる座頭市にしてみれば普段通りの構えであるが、我流を貫く雪舟丸が居合い抜きの構えを取ることは実に珍しいことなのである。
「雪舟丸は相手のお株を奪って勝ちたいとでも思っておるのかのう...」
続いて興味津々で眺める仙花もそう呟いた。
もはや傍観者達の声は当事者たる雪舟丸と座頭市の耳には届かず、ただ相手を斬ることだけに集中し、足はにじり寄せるが如く徐々に間合いを詰めていく。
居合勝負となれば剣速の速い方が圧倒的に優位であろう。
神速の剣線を誇る雪舟丸と、居合い抜き達人である座頭市、両者の剣速を知る者はお銀ただ一人であったが、どちらのの剣速が速いかなぞ同時に見てみなければ比べようが無かった。
互いの距離を縮めていた二人の足が同時に止まり、両者の刀の届く間合いがほぼ同じであることを分からせた...
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