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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第57話 存分

「...こりゃぁ『馬鹿』がつくほど真の剣士殿だ。あっしにとっては無益な腕試しなんぞ、とんと興味はございやせんがぁ...剣士殿は引き下がってくれそうにもございやせんなぁ...」

「無論だ。剣に生涯を捧げる者として、このような千載一遇の機会を捨てたとあっては死ぬまで後悔するに違い無し...尋常にサシでの勝負を願いたい」

「...まぁ、あっしは我が身が惜しいとは思うとりゃせん。たとえ今この場で命散ろうとも後悔なんぞする筈も無し...面白い。剣士殿の申し出を受けて立ちましょうや」

 座頭市は意外にもやや嬉しそうにそう言うと、右手に持っていた杖をまるで刀を扱うように身構えた。

 一見何でもない普通の杖のようだが、これこそが居合い抜きの達人、座頭市の唯一無二の武器『仕込み杖」に他ならず、杖の中には切れ味抜群の日本刀が隠されていのである。

 構えを取った座頭市から一時も目を離さずに、雪舟丸が仙花達に所望する。

「仙花様、それに皆の衆よ。ここはこの雪舟丸の我儘を組み入れ、場を少し離れてはくれまいか?」

 剣士と剣士のサシの勝負に手出し無用なことは仙花一味の全員が知るところであり、全員が黙して二人から距離を取る。

 だが仙花だけが振り返り雪舟丸に声を掛ける。

雪舟丸よ、やるからには必勝ぞ。もしも命を落とすようなことがあれば儂が八つ裂きにするからな」

「...存分に」

 

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