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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第62話 緑葉

「ビュオッ!!!」

「およっ!?」

 突如として吹き荒れた突風が吹き、仙花の長い黒髪を束ねたていた紐が解けサラサラと風に揺れる。

 突風の影響は周囲に生い茂る木々も当然にして揺らし、枝から生えていた緑葉を数え切れるほど撒き散らした。

 空中に浮いた緑葉のうち数枚がゆらゆらと彷徨い、奇しくも雪舟丸と座頭市の間合いの空間へ流れ落ちる。

 そして一枚の緑葉が睨み合う二人の視界に入った瞬間!

「ギッイィーン!!!!」

 互いが同時に目にも止まらぬ速さで抜刀し、二人の視界の中心点でぶつかり合って鍔迫り合いの状態となった。

 その真下へ、放たれた二人の刀によって三枚におろされた緑葉がぽとりと落ちる。

「抜刀の速さ、剣速は互角のようでござるなぁ...」

 剣技においては雪舟丸の凄さを手放しで認めている武士の蓮左衛門がボソリと呟いた。

 蓮左衛門の横に立つ九兵衛が驚きの表情で訊く。

 「ほえぇ、蓮さんはあれが見えていたでやんすか?あっしにはどうやって鍔迫り合いになったのかすら分かりやせんでしたが...」

「拙者は目で追うのがギリギリでござった。もし拙者が座頭市の立場であれば完全に斬られていたでござるよ」

 雪舟丸の居合い抜きは「神速の剣」の名に恥じぬ、否、それ以上のものだった。驚愕すべきはその神速と互角に渡り合う座頭市の剣速である。

 

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