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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第68話 納刀

「...さよう。剣士殿、まさかあっしが勝負のあいだに気づかぬとでも思っているんですかい?」

「...........」

 座頭市の問いに口を閉ざしたままの雪舟丸。

「剣士殿ほどの腕前の持ち主ならば、目の不自由なあっしへの攻め方など幾らでも出来やしょうに...足音を消し、剣気を抑えその剣速で攻められりゃぁあっしなんぞ一溜りもありやせん。あっしの得意な居合い抜きにしても完敗ってとこでさぁ。それを自覚しながら命を捨てるなんざぁ本物の馬鹿か『狂人』のなす最悪手というもんじゃぁありやせんかねぇ...」

 言われた雪舟丸が黙したまま刀を鞘へ戻し口を開く。

「...あんたの『本気』ってやつを見てみたかったのだが、そのように言われては興もさめざめというもの。致し方あるまい...」

 実に残念そうな雪舟丸に、座頭市が地に着いた刀と杖(鞘)を拾い、納刀してまた言葉を掛ける。

「...剣士殿は偉く腑に落ちぬといった具合でありやんすねぇ。おっとそうだ、あんさんが最強の剣士を目指しているのならぁ、一つ心に留めておくべき男の名がありやんす。折角だ、教えてしんぜやしょう」

 気が抜けてしまった雪舟丸の目に興味深さが表れる。

「...もしやだが、あんたより強い奴が他にいるってぇのかい?」

 

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