刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第86話 意識

「フフフ、光圀様のお戯れの可愛いこと♪」

「そう茶化すでない。未だかつて会ったこともない仙女...それに飛び切りの美女に膝枕をしてもらうなんぞ、この歳になるまで幾多の様々な経験を積み重ねて来たこの光圀をもってしても経験したことのない幸福感よ...少しくらい戯れても何一つ可笑しくはなかろうて...」

　そう言いながら、酒の影響と柚須灘の柔らかい膝枕の所為か、光圀の目は「とろん」として今にも寝てしまいそうな様相となった。

「あらあら、光圀様はそろそろご就寝のようねぇ♪では寝てしまう前に大事なことをお伝えしますわぁ♪」

「...大事なことか...儂の意識があるうちに早く申せ...」

　柚須灘が膝の上に乗った光圀の頭に顔を近づけ、耳元へ囁くように言葉を告げる。

「貴方様は私めの施した仙術によって仙人へ転生することが出来るようになりました。ですが、そのときが来るのは未だ先になります。この柚須灘は、貴方様がその仙人となり仙人界を訪れることを心待ちにしておりますよぉ...」

　柚須灘が語り終えた頃には光圀は気持ち良さげに眠ってしまっていた。

　そしていつの間にやら仙女の柚須灘の姿は消え去り、廊下で一人眠る光圀を見つけた絹江によって起こされ、寝室に移動した光圀はすやすやと深い眠りについたのだった...

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