刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第94話 動揺
そう、意外なことに、である。
天心の姿を一目見た仙花は今までの会話から察し、言葉は悪いかも知れないけれど「醜き者」を想像していた。
だから彼女が一瞬動揺し硬直したことは不思議でも何でもない。
仙花が天心の顔面をしっかり拝もうと提灯を前に突き出す。
「...お主、言動と比して顔の美しさに大きなズレがあるとか言われたりするのではない?」
見た目だけで判断するならば、歳は雲峡や柚須灘とさして変わず若いだろうか。仙人ならではの白い仙衣を着た、長いの黒髪に女子(おなご」の如き白く美しい顔をした天心が腕組みをしつつ答える。
「うむ、まぁ仙人界に住んでいた頃はそこら辺は耳が腐るほど言われていたかな。おっと、『勿体ない』などと聞き飽きた言葉は出してくれるなよ。それとほれ、童がオレに放ったクナイは返しておくぞ」
「一応儂はこう見えて十六歳になる年頃の女じゃ。『童』と呼ばれるのはどうにも腹の虫が騒いでうるさい。せめて名前で呼んではくれんかのう」
「ケッケッケッ、なるほどなぁ...口が悪く天邪鬼なお主もにも傷付く言葉があるとは笑えて来る。良いだろう、では仙花よ。残る試練はあと二つ。これより第二の試練をお主に与えるぞ、心して聞くがいい」
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