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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第105話 父親

 己を抱き抱える母親であろう女が、子守唄を止めて男に応える。

 

「...はい、長く考えた末、この子には仙人のように長く生き、可憐な花のある子に育って欲しいから、『仙花』と名付けることに致しました」

 

「ほう、それは良い名だ...お前の夫は不運にも早死にしてしまったからな。父親の分も合わせて、この子には長生きして欲しいものだな...」

 

 身体は赤ん坊であるとはいえ、頭の中は大人になる一歩手前の仙花は、男の言葉に小さな心臓が驚いたのを感じとった...

 

 心の内で、「儂の父親は徳川光圀じゃが、血の繋がりが無いことはとうの昔に聞いておる。叶うものならいつの日か実の両親に会いたいと思っておったが...この男の言葉が真実であれば、父親に会うことは叶わぬのか...」などと思ったものである...

 

 男の声はそれっきり聞こえなくなり、母親が赤ん坊の仙花に語りかける...

 

「仙花...悲しいけれど、貴方の父親はこの世から居なくなってしまったの、でも安心しておくれ。貴方が立派な大人になるように、この母が○○○の分まで一所懸命貴方を守ってあげるから...」

 

 母は優しく、そして力強くそう言い終えると、中断してしまった子守唄を再開し、安心感を得た赤ん坊の仙花は心地く眠りについたのだった...

 

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