刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第109話 覚悟
煽れんばかりの大粒の涙を浮かべた己の母が、顔面を畑の土に擦り付けての命の懇願...
何処ぞの誰に向かってやっているのかは知らぬが、尋常ではないその様子に仙花はいてもたってもおれられず、母の側へ近寄ろうとがむしゃらに走り出す...
「はっ、母上ーーーっ!!!」
幼く小さな身体から発せられた魂の叫び!
だが...
「仙花!こちらに来ては駄目!!!」
愛する我が子の叫びを耳にした母は、仙花の身を案じて叫び返した...
予想外の言葉に幼く小さな仙花の心を衝撃が射抜き、条件反射的に走ることをピタッと止めて立ち尽くす...
「...は、母上...」
気付けば仙花の目にも涙が溢れ、今にも子供らしい大泣きが始まろうとしていた...
土下座をする母の前に立ち尽くす何者かが、腰に付けた鞘から刀を抜き放ち、仙花の方には目もくれず母に言う...
「あれが○○○とお前の子か。案ずるな、お前の命を奪うことは決して変えられぬが、あの子の命だけは奪わぬと約束しよう」
何者かの言葉を受けた母の表情が微かだが明らかに和らぐ...
「ほ、本当にございますか?」
「あぁ、約束は必ず守る。お前も苦しまずに一瞬で殺してやるから安心せよ」
何者かの言葉は恐ろしいが、仙花の母は何故だか安心し、覚悟を決めた女の顔となっていた...
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