刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第176話 不埒
だが蛇朱喃が仙花の動きに慌てて反応し身体を反らしたため、鳳来極光の刃は狙っていた急所であろう標的の頭部には届かず、人の形を留めた身体を切り裂くに留まった。
「ウッィッ!?」
致命傷とはならずとも、体の一部を切り裂かれた蛇朱喃が言葉にならぬ呻き声をあげた。
怪異を一撃で仕留め損なった仙花が溜息を漏らす。
「ふぅ...これは意外や意外。見た目の巨大さに反してそこそこの俊敏さは持ち合わせておるようじゃのう...ん、まぁ、一撃で死なれてもつまらんからこちらとしては憂しい意外性ではあったがのう」
仙花の口にした言葉は特に悔しがる様子も感じられず、この状況からして不埒ではあるけれど逆に彼女は本当に嬉しかったのかも知れなかった。
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