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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第220話 遠慮

 仙花の物言いは側から聞けば傲慢そのものでしかなかったけれど、若いゆえの未熟さを彼女の容姿と清々しいほどに堂々とした振る舞いによって、言われた当の本人である希枝は全く意に介さぬ具合である。

「...承知しました」

「して、この宿にはお主しかおらぬのか?儂が遠慮なく大声を出しているにも関わらず、一向に他の者が出て来る様子がないように見受けるのだが?」

 仙花の問い掛けにやつれ顔の希枝が俯き、今にも崩れそうなほど悲しげだった彼女の表情がなお一層の悲壮感を漂わせる。

「...はい。貴方様の御推察の通りでございます。この宿には元々私めの家族、祖父母に夫、幼き男の子が共に暮らし働いておりましたが...」

 希枝はここまで話すと言葉につまり、いつの間にやら涙を溢していたのだった...

 

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