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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第98話 命名

「やっと仙人らしいところをお披露目させてもらえるなぁ。今までのオレとは一味も二味も異なるゆえ覚悟せよ!」

 などと彼は己を卑下しているようだが、暗闇に中で仙花に素早く放たれたクナイを素手で受け止めたあたりは「神業」と言っても過言では無かった。

「喋りは良いから早うせい」

「ケッケッケッ!その強がりが最後にならぬと良いがなぁ。いざ!凍えろ!空間氷結!」

 天心が懐から白と黒と金色の混ざった扇を取り出し、風を起こすように振り翳して仙術を放った!

 する洞穴の部屋の土壁と地面がたちどころに「キーン」と音を立てて凍りつく。

 もちろん、仙花が正座する真下の地面も凍りつき、一気に身体が冷えるのを感じとった。

「こ、これは...仙術の命名は何の捻りもなくおもしろみも何もあったものではないが...効果自体は侮れぬわい」

「ケッケッケッ。この部屋は今よりもっと冷気が増していくぞ!どこまでも耐えられるかな?そぉれ!空間氷結増し増し!」

 天心が手にする扇をもう一振りすると、彼の言った通り部屋の冷気は冷たさをさらに増していった。

 現時点においても、仙花の身体は仙血と仙骨によって普通の人間よりも遥かに強靭であり、夏の暑さや冬の寒さなど屁でもないといった具合に生きて来た。

 だがそんな彼女をもってしても、部屋の尋常でない冷たさはいかようにも骨身に染みる。

 

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