刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第170話 警戒
すると、人気(ひとけ)が全く感じられない不始末村の中央の道に、人間と思わしき一人の女がヨタヨタとゆっくり歩きながら仙花一味の方へ向かって来るのが見えた。
一味の中で最も視力の良い仙花が歩みを止めた理由は、正にこの女の姿を誰よりも早く見つけたせいであったのだが、ヨタヨタと歩き近づいてくる女の着物は野党にでも襲われたが如くボロボロの状態であり、如何にも怪しげで警戒せずにはいられない様子であった。
仙花が視線の先を同じくするお銀に問う。
「お銀、あの女、怪し過ぎんか?」
「そうですねぇ...怪しいかどうかと問われれば、『怪しすぎる』の一択と言ったところでしょうか。仙花様、十分な心構えを...」
「無論じゃ...」
居眠りする雪舟丸以外の全員がいつでも戦闘体制に入れるよう構える。
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