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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 第2話 出雲の地へ ノ11

 僅かな時間で橋の麓へ辿り着いた仙花が床板を颯爽と走り抜け、ひれ伏す女子の両親と立ちすくむ野盗らのあいだに躍り出た。

 橋の床板に転ぶ射られて屍と化した男を指差し仙花が告げる。

「野党ども、此奴のようになりたくなければ後ろを向きこのまま立ち去るがいい。無駄な殺生は望むところではないからのう...」

 あれだけの速さで走り続けたにも関わらず、既に彼女の呼吸は整いしっかりとした口調であった。

 しかし、野盗の男どもは仙花の言葉に従うことなく武器を持った状態でその場に居残り武器を手に身構える。

 それもそのはず、先ほどの神業のような弓捌きを見ていたのならまだしも、野盗の一同は目前の若い娘の仕業とはこれっぽっちも思っていなかったのだから...
 上着ただ一枚を羽織り、半分以上は肌を露出している破廉恥ともとれる格好の娘に凄まれて、いったい何処の野盗が退くというのだろうか?

 四人のうち一番前で刀を構える如何にも野盗ヅラの男が吠える。

「馬鹿を言え!たった一人の娘っ子相手に逃げる野盗などこの世にいるものか!」

 ごもっとも。
 
 暫くは両者の緊迫した膠着状態が続くのかと思いきや、事態は後から仙花を追いかけて来たお銀の手によって急転する。

「ドシュッ!!」

「ぐあっ!?」

 仙花の横を一本のクナイがビュッと通りすぎ、もっともな意見を述べた男の喉を直撃した!
 男はクナイの刺さった首を押さえもんどりうつ。

 続いて仙花の横をお銀が風のように走り抜け、その男の心臓に短刀を突き刺さした!
 無論くノ一のお銀に他ならなかったのだが、そこで彼女は留まらなかった。
 男の心臓に突き刺した短刀を素早く抜き、流れるような素早い動きで残りの三人に斬りつけていく。

「ザシュッ!!」

「ぬぐっ!!??」

 一人目は、お銀のあまりにも早く無駄のない所作により、接近されて反応し動こうとした頃には首をパックリと斬られ血飛沫があがる。

 そこから脇目も降らず二人目に接近するお銀。

 二人目の男は必死になって応戦しようと無我夢中で薙刀を横にはらう!

「んなろーっ!!」

「ブン!!」

「ズシャァァーーッ!!」

 お銀は大振りなその一閃を身を屈めてかわし相手の懐へ飛び込むと、男の股下から顔面へ到達するまで短刀の刃を滑らせた!

「ぎゃあっ!!??」

 断末魔の叫びをあげる男を尻目に、最後の一人となった男を目視したお銀がすかさずクナイを放つ!

「ビュッ!」

「ぐあっ!!?」

 クナイは男の眼球に突き刺さり、短刀が届くほどに間合いを詰めたお銀は心臓をグサリと一突きにしたのだった。

 

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