刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第23話 苦手
兎角、柚須灘が包み隠さない好意を押しつけるものだから、当然ながら雲峡は彼女を苦手としているのである。
さらに付け加えれば、雲峡は彼女の頭の良さと美貌も苦手としていた。
300年のあいだに何十という論争を繰り広げて来た二人であったが、結果はいつも雲峡がコテンパンに打ちのめされるという有り様で、美貌に関しては隣に居られるだけで己が霞んでうんしまうのが悔しかったのである。
「...それより柚須灘。仙人界にいる筈のあんたが何でこんなところに現れたのよ?」
柚須灘との会話内容を変える意味も込めて雲峡が問うた。
「いい質問ねぇ雲峡ちゃん♪なんてことはないわぁ。ちょっと諸用で人間界に降りてみれば、邪悪な覇気が臭っちゃって気まぐれに寄り道しただけよぉ♪」
「あっ、そう。仙人が人間界にどんな用事があるのか気にはなるところだけれど、あんたのことだから上手く誤魔化されるだけだろうから訊くのはやめておこう」
「あらぁ♪雲峡ちゃんらしくもないわねぇ、別に訊いてくれても良くってよう♪」
「よし!ならば聞かせておくれ」
「そうねぇ、見返りとして雲峡ちゃんが天仙竺十権に入ってくれれば教えてあげようかなぁ♪」
「条件付きかいっ!もう良いわ!」
雲峡がふくれっ面をして「プイッ」とそっぽを向く。
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