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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第80話 回顧

 互いが呑み干してカラになったおちょこに徳利から酒を注ぎ補充する。

 ふぅっと溜息を一ついて光圀がしみじみと語り出す。

「登代さん、あいや柚須灘殿。儂はのう、この歳になって人生を回顧する機会が多くなっているのじゃが、若い頃より辿ってみれば儂は何と濃密な人生を歩んで来たものか...などと感慨深く思うわけなんじゃ...しかしのう、幾ら人よりも稀有な経験を重ねているのにも関わらず、儂の欲深さとでも言おうか、まだまだこの世界に好奇心が湧いて止まらんのじゃよ。もっとこの世界に生きて様々なものを眺めたり聴いたりし続けたい...じゃがのう、悲しいかな、わざわざ人に診てもらうまでもなく、この肉体と魂の限界が近いことを悟ってしまったわけだ...」

「...さようにございますか...確かに何百年と生きる私たち仙人どもからすれば、人間界の人の寿命というものはかくも短きもの。光圀様のようなお人からすれば、百年にも満たない人生など少々物足りないのかも知れませんわねぇ...」

 柚須灘がいい終えると、二人は同時に酒をぐいっと口に含んで呑み込んでこんだ。

 そして柚須灘は光圀に視線を移して美しい笑みを浮かべる。

「しかしながら光圀様。人より博識であり優れている貴方の言葉にも間違いはあるもの...人の肉体は朽ち果て土に還るは避けられまいが、人の魂は肉体を離れようとも存在し続けるのですよ」

 

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