刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第81話 半々
「...魂は存在し続ける...か。世にも珍しい仙女の言うことじゃ、恐らくは本当にそうなのかも知れんのう。じゃが、これは性分だとでも言おうか、儂は己の眼でハッキリと見たものしか信用できんのじゃ」
江戸時代において、「幽霊」や「妖怪」などの不可思議な存在は絵画や昔話などに表れているように、人々の中では半信半疑ながらも信じらているようである。
だがこの光圀のように、己が眼で確かめなければ頑なに信じようとしない者達も同じくらいいたわけであるが、それは現代に置き換えても然り、怪異の存在を信じる者は半々といったところであろう。
「フフフ、それもそうですわねぇ...では、光圀様にとっての未知なる経験を早速体験していただくことに致しましょう」
柚須灘はそう言うと、人間女性の一般庶民的に結っていた髪をサラッと解き、光圀の座る前方付近へと立ち上がって移動した。
すると、柚須灘の身体の周りに「蛍の光」のようなものがポツポツと現れ、瞬く間に彼女の全身を包むほどに増加した。
「ほ、ほう...」
年寄りとなるまで生きてきた光圀が、かつて見たこともない光景に呆ける。
そして柚須灘を包んでいた光が徐々に収まっていき、変化仙術を解いた柚須灘が仙女そのものの姿となって現れた。