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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第77話 絶世

 ささやかな宴会は終始光圀が中心となり、皆が大いに楽しめた場となったものである。

 人生経験が稀に見る豊かさを誇る光圀と、その何倍も生き、何十倍もの知識を頭脳に宿す柚須灘(登代)の会話は実に珍しくも深い内容ばかりであった。

 ムードメーカー的存在であった仙花が旅立ってからというもの、西山御殿の食事時は実に厳かなものとなっていたもので、賑やかな食事は久しく、光圀、絹江、滝之助らは心に高揚感を覚えたものである。

 ひとしきり美味しい食事を摂り、光圀の取り寄せていた極上の酒をたっぷりと堪能したあと、酒のトックリを片手にご機嫌な光圀が柚須灘(登代)を誘う。

「登代さんや。あんたぁ、まっこと絶世の美女にして並外れた才女じゃのう。後片付けは絹江と滝之助に任せて、儂らは縁側で月でも眺めながら話でもしようじゃないか」

 誘われた柚須灘(登代)が絹江を気にして視線を流す。

「大丈夫ですよぉ登代さん。私らは光圀様に仕える身で世話をするのが当たり前ですから、こちら気にせず光圀様のお相手をお願い致します」

 横から顔を赤くしたほろ酔いの滝之助が口を挟む。

「そうですとも。ここは拙者と絹江殿でチャチャっと片付けますゆえ、存分に光圀様との会話をお楽しみくだされ」

「そうですか...ならばお二人の優しいお言葉に甘えさせていただきます」

 

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