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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第99話 限界

「ど、どうだ。そ、そろそろ手足の感覚も無くなって、きたんじゃないか?」

 仙花と同じ空間にいるがゆえ、天心の仙術の効果は発した当人の身体にもそのまま影響があるらしく、寒さによって唇が思うように動かず天心の言葉が震える。

 彼の計算上では、仙花の身体は寒さでとっくに震え出し、手に持つ盃から酒が溢れる寸法であった。だが。

「いや、確かに寒さは感じるが手足の感覚はしっかりしとるし、今のところ問題無しじゃ」

 寒さの影響がはっきりと現れている天心に対し、彼女は普段と何ら変わらぬ口調で返したものだった。

「こ、この寒さまで耐えた人間は、お、お主が初めて、だ。な、ならば限界突破のもう一振りだ」

 天心は人間に比して強靭な身体を備えた仙人であり、普通の人間よりも寒さや暑さを耐え凌ぐことは容易な筈であったが、もはや部屋の中は仙人ですら凍え出す温度となっていた。

 彼は無理は承知の上で、己の繰り出した仙術によって凍え震える手でさらに仙術の強化を図る。

「く、空間氷結!増し増し増しぃ!」

 強行に出た結果、遂に仙花の着物がパリパリに凍りつき、吐いた息すら凍りつくほどの寒さとなった。

「どど、どうだ...やや、痩せ我慢せず、とも、いいいのだ、ぞ」

 

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