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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第120話 書物

 目を閉じ己を落ち着かせた天心が云う。

 

「さて、たった今からお主は人間では無くなり、晴れて仙女となり得たわけだが...先ずはこの書物に目を通すのだ。この中には仙人たるものかくあるべしといった内容がこと細く綴られている。ほれ」

 

 天心から仙花へと手渡された書物の表紙には、達筆な筆字で「仙人道」と書かれていた。現代に置き換えれば六法全書並みに厚みあるものだったが、紙の一枚一枚に厚みがあるため頁数は恐らく二百ほどであろうか。

 

 だがその書物の厚みと重みに仙花はため息を一つつき。

 

「まさかとは思うが、今この場で儂にこれを読めと言っておるのか?」

 

「そうだ」

 

 仙花の問いに天心は大真面目な顔で即答した。

 

「無理じゃ」

 

「はぁん?...オレの耳はおかしくなってしまったのかな?ほれ、見やすいように灯りを灯してやるから黙ってとっとと読むんだ」

 

「ボウッ!」

 

 天心が仙術によって光の球を作り出し、洞穴の部屋の天井にピタッと貼り付けた。

 

 実は彼が簡単に起こした仙術は、何気に高等な技術を要する仙術で、仙人界でも数えるほどしかできないものであったのだが、仙花は特に驚く様子もなく。

 

「だから無理じゃと言っておろう。こんなに分厚い書物なんぞ儂が読み終えるには一日がかりとなってしまうわい」

 

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