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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第111話 愕然

 言わずもがな、これは天心の仙術によって見せられた仙花の夢の中...


 しかし、母の身体の焼けた臭いが仙花の鼻を現実のようにつん裂く...

 

 それが彼女に夢の中であることを忘れさせ、まるで現実に起きているかの如く体感させられていた...

 

 故に、彼女にとって目の前で展開されている悲惨な出来事は、現実と何一つ変わらぬあまりにも悲しきものであった...

 

 狂ったように泣き崩れる彼女に向かって母を殺した何者かが語りかける...

 

「娘よ...小さきお前にはちときついものを見せてしまったな...だがこれはお主の両親が犯した愚かな罪の代償にすぎんのだ...我を許せとは言わん。恨みを晴らしたくば強くなっていつでもかかって来るがいい...否...それはお主が何百年生きようが不可能なことであろうからもっと楽な道を歩ませてやろう...『柚須灘(ゆすなだ)』、この娘のことは任せたぞ...」

 

 昨日出会ったばかりの仙女に名を聞き、仙花は心臓が止まるかと思うほどに驚いた。「こやつは今『柚須灘』と言ったのか!?」と...

 仙花はとめどなく流れ出る涙を腕で強引に拭い去り、何者かが何者なのかを確かめるべく顔を上げた...

「うっ!?雲峡!?...」

 

 仙花が驚き愕然とするのも無理はない、己の母を刀で斬り捨て仙術によって燃やし尽くした人物は、彼女が最近二度に渡って遭遇した仙人界最強の仙女、即蘭眉雲峡(そくらんびうんきょう)だったのである...

 

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