刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤 第151話 年越

　そのあと、大晦日とあって普段なら家族の全員が寝ている時間であったけれど、不始末村に唯一存在する寺から除夜の鐘の音を家族全員で聴いたものである。

　除夜の鐘、その起源は中国の寺院で行われていた風習だと言われており、仏教発祥のインドでは梵鐘の起源と結びつくものがないそうで、梵鐘を仏具として使用していた中国で生まれた風習ではないかという説が有力なんだそうな。

　中国の寺院では、毎月月末の夜に108回、鐘をついていたけれど、宋の時代になってから大晦日だけになったそうで、鎌倉時代の末に中国から禅僧が来日し、その風習が日本の禅宗の寺院に伝わったと云う。

　室町時代になると大晦日に梵鐘をつく風習が徐々に広まり、江戸時代には現在のように多くの寺院でつかれるようになったのだそうだ...

　清兵とトキが帰った頃の外の吹雪はいつの間にやら収まり、すっかり真っ白な雪化粧の様相を呈し、シンと静まり返った村に響く除夜の鐘の音は人々の心を落ち着かせ、新年を迎えるに当たり心が浄化されたように感じたものである。

「よし、我が家は今年も無事に年を越すことができぞ。椿、明日に備えてそろそろ寝床に行って寝るんだ」

「うん、じゃあ寝るね...ふわぁぁぁ...」

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