刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第156話 抵抗
愛する我が子を心配してトキが声をかける。
「立ったまま夢でも見ているのかねこの子は...椿、目を覚まして気をしっかり持ちなさい」
姿形は椿であれど、中身は怪異である姚紅が返す。
「だから言ったであろう。あんたの可愛い可愛い娘はもうこの世にはいないんだよ。クックックッ、久しく現実の身体を手に入れたら腹が減ってきたねぇ。復活の記念だ。最初に喰らう人間はあんたにしてやろう」
そう言ったのも束の間、姚紅は元は椿のものである身体をサッと動かしトキに近づくと、口裂け女の如く口を大きく広げてトキの頭にガブリと噛み付いた。
「なっ!?何ぼっ!?」
己に何が起こったのかさっぱり分からぬトキが慌てふためき、無我夢中で両手をあげ姚紅の頭を外そうと抵抗するが、あり得ないことに姚紅はもう一度口を広げてトキの頭をスッポリと口の中に入れ。
「ザギュン!」
トキの喉元から一瞬で噛みちぎり頭を呑み込んでしまった。
「ブシューーーッ!!!」
頭を失った首から大量の血飛沫が噴水の水のように舞う。
その物音と顔にかかった血の生温かさを感じた清兵がスクッと身を起こし、頭を失い血飛沫をあげるトキの身体に驚愕する。
「なななっ!?なんなんだこれは!?」
トキの血で口元を真っ赤に染めた姚紅が清兵に視線を向けた。
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