刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第162話 実体

　さて、桐子はどのようにして城の者達に残酷な結末を迎えさせたのか。

　その要因は清兵とトキが町で見知らぬ商人から手に入れ、椿を喜ばそうと渡した女の人形に秘められていたものと同じである。

　桐子は刹乃の憎悪から生み出した呪いの怪異である姚紅は、この世では実体を具現化することはできない。否、云い方が悪かったかも知れないけれど、姚紅の姿は人の目に幽霊の如く映るのだが、そのままでは波長の合う人間に触れることしか叶わず、物理的に存在する他の物には触れることすら出来ないのである。

　既知の桐子は事前に準備していた女の人形に封じ込め、波長の合う女の人間に出会うと憑依するよう仕組んでいたのだった。

　呪いの人形が上手く桜の手に渡るように段取りをして、全てが桐子の思惑通りになってしまったのである。

　姚紅が封じ込められた人形が桜の手に渡ったその晩、抱き抱えられた人形から姿の見えない姚紅が桜に乗り移り、此度の椿と同じように周りの人間を喰らい殺したのだった。

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