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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第166話 一刀

 会話に名前の出て来た当人の居眠り侍こと雪舟丸。聴こえているのか否か、相変わらず歩きながら寝ているその様は微塵も変わらなかった。

 

 代わりにその前を歩く薬師の九兵衛が口を開く。

 

「ありゃぁ、寝ていて全く戦意がない雪舟丸殿に殺意を持って襲いかかった土蜘蛛が悪いでやんすよぉ。しかし雪舟丸殿は流石でやんすよねぇ。直前まで『すぴ〜すぴ〜』と寝ていたはずなのに土蜘蛛が襲いかかった瞬間、目をカッと開いて一刀両断にしてしまったでやんすからねぇ」

 

 九兵衛はその場面を思い出してか我が事の如く嬉しそうに話す。

 

 それを横で聞いていた武士である蓮左衞門が少しばかり悔しげな顔をして。

 

「お陰様でここ最近拙者の活躍がメッキリ減っているでござる。この怪力を持って振る大金棒の破壊力をお披露目したいでござるがなぁ」

 

 お銀が口に手を当てさも可笑しげに笑う。

 

「あらあら、仙花様の家臣の男どもは皆頼り甲斐があるようでほんに頼もしい。でも旅はまだまだ続くのだから、そう焦らずとも腕を振るう機会は十二分にあるのだからヘマをしないようしっかり鍛えときなさいな」

 

 お銀の言葉に居眠りを続行している雪舟丸以外の全員が頷き笑う。

 

 と、ここで仙花が何かを思い出したような顔をした。

 

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