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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第171話 焦点

 女はの見栄えは20代前半といったところだろうか、恐らく素の状態であれば男の目を惹くことなど容易い美貌の持ち主であろう。

 

 だが女の様子は些かおかしいと言わざるを得ない。

 

 何故なら、目の焦点が絶えることなく動き回り焦点が定まっていない上、口からは大量の涎がだらしなく垂れていたからである。

 

 仙花一味との距離が数メートルとなった時点で女が苦しそうな声で言う。

 

「飯を、飯を喰らわせておくんなましや...」

 

 女がものを言った瞬間、仙花の前にいつの間にか立ち塞がったお銀が懐から手裏剣を取り出し身構えた。

 

「お主、人間の皮を被った化け物であろう?戯言は良いからさっさと本当の姿を現すがいい」

 

 お銀がドスの効いた声でそう言い放つと、女は時が止まったかのようにピタリと動かなくなった。

 

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