一輪の廃墟好き 第110話 セリフ
「君がかよわいなどという言葉とは無縁な女性だと踏まえた上で、強烈なデコピンをお見舞いしようと思うのだがいいだろうか?」
「んもういけずぅ、そんなことちっとも思ってないくせに~♪...しょうがないぁわかった、わかりましたよぉ...でもぉ、聞いて驚いてもいいけど驚かないでよねぇ」
って、どっちだよ。それに「いけず」なんてお前は関西の人間ではないだろう。
「はいはい至って了解」
僕が適当に返すと、未桜は手元に置いてあったお絞りを手に取って裏返し、恥ずかしげもなく豪快に顔を拭き終わり。
「よし!じゃあさっぱりしたところで発表しちゃうよ~♪実はねぇ、この『むらやど』で最初にわたしたちを出迎えてくれたあのお婆さんはぁ、この世の方では無かったのですよ」
お茶目な表情をつくり人差し指を顔の前でピンと立て、彼女は気軽な感じでとんでもない爆弾発言を投じてくれる。
僕は自信の脳内で息を呑んだことを理解し、バクバクと鳴り出した心臓を落ち着かせるため可能な限り冷静さを保つように努力した。
とりあえずは昔の漫画(今でもたまに見かけるが)に星の数ほど出てきたセリフを口にしてみる。
「...ば、馬鹿な...」
そのセリフを受けた助手は、さも得意げにこう言った。
「はっはぁ〜ん、やっぱり気付いてなかったんだ♪」
彼女のことを初めて「憎らしい小娘め」と思った瞬間であった...
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