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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第52話 真似

 手の指を丸め望遠鏡の真似事をしながら仙花が呟く。

「皆の者、遠くの前方に怪しい人影があるのじゃが、儂の他に見える者はおるか?」

 仙花の言葉を聞いて寝て歩く雪舟丸以外の者たちが彼女の視線の先を注視する。

「んん、拙者にはとんと見えんでござるなぁ...」

「あっしにもまるで」

「仙女だった頃の儂なら見えたかも知れんが...さっぱり見えんわい」

「...仙花様のおっしゃる通り、確かに人のような者の歩く姿がありますねぇ...」

 他の者達が目視できぬ中、お銀だけが仙花の云う人物を目で捕らえた。
 流石は身体能力の高いくノ一である。と云いたいところではあるけれど、お銀は自前の手持ち型望遠鏡を使い確認していたのであった。

 またまた物語の腰を折ってしまうことになるが、日本最初の望遠鏡は、慶長18年(1613年)、東インド会社のジョン・サリスが、 徳川家康に献上したものと考えられているらしい。
 まぁ、これが真実か否かは別として、お銀が手に持つ小型の望遠鏡は、実はお銀の故郷である「忍者の里」で作られた物である。
 忍者の情報収集能力と、人並み外れた器用さがあれば、独自に望遠鏡を作ること自体は特段不思議なことでも無いわけだが...

「...あれに見えるはもしや...」

 お銀は何かを思い出したかのような口振りで呟いたのだった。

 

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