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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第97話 屈指

 基本的なつくりは統一されているとはいえ、人間の人格や姿形が千差万別あるように、仙人界の仙人達にもそれは当然当てはまるわけだが、この保坊天心と名乗る仙人は人格もさることながら、実は仙人界でも屈指の仙術使いであった。

 さらに云えばこんなに狭くて暗い「純真の洞穴」に、何百年という長い間ずっと引きこもっていられる者はこの者をおいて他にはおらず、あまりにも風変わりな人格はともかくとして、仙術使いとしての能力に長けた彼をこの任につけたのは他でも無い柚須灘である。

 何百年という長い間この任務をそつなくこなして来た過去の実績からすれば、超優秀で決断力のある柚須灘の判断は大正解であったと言えるだろう。

 だが、今回の試練志願者である刀姫こと徳川仙花は、数こそ大したことは無いが、天心にとって今まで訪れた志願者とはかなり勝手が違い、己のペースを掻き乱されていた。

 口にこそ出してはいなかったけれど、心のうちで彼は少々焦っていた。
 風変わりな彼に仙人としての地位や威厳などどうでも良いことだったのだが、柚須灘に与えられた「人間に試練を与え、乗り越えた者には仙人としての資格を与えよ」という重要任務において、試練を受ける側の人間に舐められてしまう訳にはいかなかったのである。

 

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小生おるたなWritten by Orutana Nagarekawa shouseiorutana.com


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