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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第128話 石見

 現在の島根県に位置する石見国(いわみのくに)は、かつて日本の地方行政区分だった令制国の一つである。

 

 時は仙花が仙女へと覚醒を遂げた頃から三年ほど前のこと、石見国のとある僻地には、誰が付けたか「不始末(ふしま)」と呼ばれる不気味な名の村があった。

 

 これから語るのは、その不始末村で暮らす貧乏な四人家族のお話である。

 

 「貧乏」とくれば、大抵は悲壮な生活を想像してしまうものだけれど、今にも倒れてしまいそうなボロ屋に住むこの家族は、貧乏暮らしながら決して不幸せな気持ちで時を過ごしていたわけではなかった。

 

 日々農業に勤しむ家長の名は「緒方清兵(おがたきよべえ)。

 

 その清兵の人並み以上に美しい伴侶の名は「トキ」。

 

 慎ましくも懸命に生きる二人の間に授かった当時十歳の長女の名は「椿(つばき」、そして少し離れた五歳の弟の「梵(ぼん)」。

 

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