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刀姫in 世直し道中ひざくりげ 疾風怒濤編 第131話 氷河

 大根飯を頬張っていた小さな梵が、家族のやり取りをなんとなく眺めていたのだが、「着物」という言葉に反応して可愛い声で喋る。

 

「梵も、梵も欲ちい」

 

 清兵はにんまりと笑い、愛する息子の梵の頭を撫でて言葉をかける。

 

「もちろんだ梵。おめえにも新しい着物を買って来てやるからな」

 

 一家団欒での昼飯を済ませたあと、全員が冷たい風の吹く外に出て、売りに出す野菜や穀物を倉庫から運び大八車(だいはちぐるま)に乗せていく。

 

 ちなみに大八車とは江戸時代から昭和時代中期にかけ、日本で荷物の輸送に多く使われていた総木製の人力荷車である。

 

 椿はもちろんのこと、まだ小さな身体の梵も手伝い、家族総出で載せ終わると、トキが慌てて家の中に入り、茅(かや)・菅(すげ)などの茎や葉、または藁(わら)や棕櫚(しゅろ)などを編んで作られた「みの」と「笠」を持って来た。

 

「今日は格別に寒いからひょっとしたら雪が降るかも知れんけぇ持って来た」

 

 そう言って清兵に手渡そうとすると、彼は冷たく凍りつきそうになっている手を擦り合わせ、掌へ「ハ〜ッ」と息を吐いた。

 

「流石はトキだ、気が効くねぇ」

 

 と手慣れた所作でみのと傘を着用する。

 

 余談だが、実はこの江戸の時代は現代よりも遥かに寒く、「ミニ氷河期」とも呼ばれているらしい...

 

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